通りがかりで能勢妙見さん

ここは朝食で　赤い実の熟す木です
鳥たちはまだ　どこか寝床の木です
私は早く　着きすぎました

ここは二度寝で　欠伸と毛布の木です
鳥たちはまだ　どこか朝食の木です
私は早く　着きすぎました

ここは雨やどりで　傘と合羽を迷う木です
鳥たちはまだ　どこか欠伸の木です
私は早く　着きすぎました

この木を背景に　あなたの遺影を写した
あなたは確か　ぎこちない笑顔をみせた
私らは確か　あなたの笑顔を覗き込んだ

陽当たりの良い位置に　在宅ベッドを置いた
水屋の引き出しに　あの一枚をしまったまま
だからあきらめて笑って　取り出さず

ここはポストで　書き出しと投函に迷う木です　
今日　木の根元で便箋が散らばっていたから
一枚一枚拾う　どれも一行も記されず

ここはきっと寝床で　昼夜で樹形は変わるでしょう
鳥たちはまだ　どこか３時のおやつの木です
私は早く　着きすぎました

通りがかりで馬酔木（嵐山西山艸堂）

昨日は行き過ぎ　戻りすぎ
今日も行き過ぎ　戻りすぎ
夕暮　宛先ちがいと言い訳しながら
それぞれ　預かった手紙を莟の枝に結ぶ

鬼は外と投げた？　椰子の実を置いた？
銀の道　蛇行する静脈でスタックするように
今宵　ため息ひと吹き　閉まらないスライドドアから
すきま風が吹きこむだろう

それはマフラーで顔をおおうから
誰も人ちがいをうたがわない
そしてうつむく馬酔木に　ナースコールに届かない

女房は心電図の警報に目を覚ますころ
式部は点滴数５５滴／ｍｌを推敲するだろう
浮舟はブラインドの羽を　巻名に見立て数えるだろう

タグ：嵐山西山艸堂　馬酔木

通りがかりで結城神社（三重県津市）

朝日のあと　ロウバイを探しに立ち寄りました
名前に惹かれてでもあります

おまけ

通りがかりでなぎさまち（三重県津市）

風ぜで一日寝て過ごして　風ぜ薬を服用して一日寝て
平熱に回復するとき

おまけ

タグ：なぎさまち　朝日