通りがかりで向日市：水場の野鳥：SSブログ

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通りがかりで向日市　[向日市] [編集]

ひとりは一月を　要介護で迎える
老いた赤頭巾は　手を握り挨拶する
冷たい手だね　誰の手だろうね　お帰り
小さな手だね　誰の手だろうね　気をつけて

私はいたずらで　蜜柑を握らせた
ひとりは　視野狭窄の瞳で探した
握手を繰り返せば　機が熟せば
痩せ細った皮だけが　残るだろう

ひとりは　餌台の蜜柑のように眠る
横たわるほとりで　鳥たちが囀る
一羽が訪れ　一羽が訪れ　一羽が訪れ

私は古い市場で　洗面ボウルの栓を
抜き手を濡らし　溜まり水を流す
彼女は私に　私は彼女に　何をおまえはしてきたか