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通りがかりで何処へ? [時井]

深夜 もう眠れない 
寝床のなかに 私は聞く
鳥が 籠に集めた不燃物で
積木崩しをするのを

枕もとの明りは つけたままで
幾つかの籠のうち ひとつは夢
鳥が吠えて 夜の持込を見張り
私は籠を並べ 不燃物をあける

あなたを忘却する 無題の十四行を投げても
紙ひこうきは 籠を越え 不時着するから
第三連で雨やどりのはずが びしょ濡れになる

ジグザグな罅が入り 行間にひそんでいた
あなたが傘を抱え現れる 降ってる?と聞くと
壊れている でも これは電気スタンド
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通りがかりで5月9日 [時井]

あなたは勝手口のカゴをひっくり返し 
前もって 不燃物を仕分けた

夜を待って 私らは幾つか袋を運ぶ
傘を抱えるあなたに 降ってる?
歩みを緩めず 何も答えず 時間を惜しみ
窓の光は後ろめたさ 早く雨戸をしめて

静かに 空缶は空缶のカゴへ あける
静かに 空瓶は空瓶のカゴへ あける
静かに ペットはペットのカゴへ あける
行先不明なものは 袋のまま置く
小声で 電池はどこへ?
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通りがかりで青い水平線 [時井]

ある晴れた日 自動ドアは作動音をたて
青い水平線は ボールペンのカチカチのようにかくれる
保守会社は センサーは蜘蛛でも感知すると説明する
あなた 私と無駄話したくなったの?

湿度の高い日 自動ドアは異音でわめき
青い水平線は あなたを通せんぼする
保守会社は 交換部品は入手不可と説明する
私 背伸びしで電源を切り ここにいるよと主張する

午下がりの炊事場 あなたの小言が聞こえそう
うっかり コーヒーをダブっておろしたとき
さらに瓶と紙ぶたのへこみが 同調しないとき

ほこりっぽい書庫 あなたの小言が聞こえそう
スイッチ飾りを押しましょう あなた 保存箱を台車に載せましょう 
そして私は同時に 三路スイッチを押しましょう
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通りがかりで藤棚(西向日公園) [時井]

桜の木の下で あなたの思い出に乾杯する
砂時計のように降りやまず ただし不規則に
春の微風は 私に姿をさらす
そして 私は誰かれとなく あなたの思い出を引き出す

桜の木の下で あなたを眠って待つ
桜の枝から枝へ 青もみじの枝から枝へ
鳥は 花の蜜や木の実を確保する
そして 私の止まり木に 唐突に別れを告げる

ライトアップは 桝形道路の街路灯
枝は熟睡し 花は目を輝かせ立候補する
そう 別離の記憶をもって 

苦手な野菜を 大好きな野菜で包んだように
春の微風に包まれて あなたは私に姿をさらす
そして いつか見つかると思ってたよと笑う
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おまけ
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通りがかりで愛宕谷林道 [時井]

林道との分岐点に 車を止める
離合する車は 愛宕山登山口を探す
かたわらで農家は 雨具をはおり春の収穫を急ぐ
敬礼? 小さい雨傘を作っている?

私らは余水吐けに備え 長靴に履きかえる
急勾配なコンクリート舗装 杉の枯れ葉を青い葉を踏み
狭いヘアピンでカーブミラーは 鏡面を失う
凍結防止剤のオレンジの空っぽは 誰の寝床?

雨具をはおるように 透明度をますだろう
恋人たちの雨やどりに 寄り添うだろう
恋人たちは沈黙 背もたれになるだろう

林道が 平坦な道にかわるころ
枯れ葉と青い葉と 花びらを踏む
それぞれの拍子で それぞれの飛び板から おそらく舞った
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オオルリ
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通りがかりで大極殿公園(桜落花状況) [時井]

かくれんぼのあとに
ゆりおこされたあと 瞳をみつける
夢のふるえのうすらぐなか 少年は告げる
まるで女の子の声で 助けを呼んでいたと
(ひとつの夢 ひとつの恥ずかしさ)

どこかの林 いつの日
夢のあと 木登りのあと
蟻が 五本の指を縦断する
(木登りの夢は かくれんぼのおわりの知らせ)

何もなかったように 忘れ去った
私の言葉やしぐさを記憶する誰か
跳んで おでこをうち泣きじゃくりながら

少年に請われて ネクタイの結びながら
私も誰かに教わったことを思い出しながら
跳んで おでこをうち泣きじゃくりながら
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通りがかりで大極殿公園(桜落花状況) [時井]

灰色の雲に
少女は 昼のお薬のせいと言い ベッドに入る
目を閉じたのか 眠ったのか
私は スケッチをのぞくと 丁寧に雲が描かれている
灰色を見比べたのか 眠ったのか

‥‥夢に誘われるまま 
おろしたての鉛筆のような 一本道を散歩する
夢の問い どんな空が好き?
素足が ぬれた草にさわるころ 行き止まり‥‥

風が音を立て 二人を起こす
窓をしめようと空をみやると 雲は目覚めて いない
少女は 迷い すべて消しゴムで消した

老婆が 桜の木の下で花びらを掃除し つぶやく
側溝がふたで覆われたから
花びらが流れる川がない 猫があらわれ目をあわす
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通りがかりで大極殿公園(桜開花状況) [時井]

白夜の忠告
私は毛布にもぐり あなたを見つける
暗闇での忠告は 待ちくたびれたこと
そしてあなたは 眼鏡を避難させる
私は冷たいものを握らされる

私はいっぱい伸ばし 枕元に置く
白夜での忠告は 夜切る爪は痛いこと
そうしてあなたは 夜のおわりか朝のはじまりか聞く
壁に そばに 手首にもなく

少し眠ろうか いいえ二度寝せぬよう
手を伸ばし梢に 持て余した果物を結び
窓辺で来客を待つ

白朝の忠告は 待ちくたびれたこと
ヒヨドリが枝から 見張るばかり
服用後 時間をおいて食事をとるように
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おまけ
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通りがかりで大極殿公園(桜開花状況) [時井]

風のうたった歌
目を覚まし 窓をあけたいのに
夜の中で 私は方角を忘れた磁石のように
毛布の外世界を思い出せず 逆にあなたの手のひらをみつけ
そこは あたたかなぬくもりだった

すぐに 鼓動をさがすことができた
高さをたがえ あなたは釦をとめていた
ようやく風か何かが 窓をたたく
私は耳を澄まし 毛布から音に手をのばす‥‥

窓のすきまから 爽やかな風が 枕に吹きこむ
私は立原さんの歌を呟く
風風 風よ もしもおまえはやまぬというのなら 私は窓をしめよう

その溝に ジョウビタキが座っている
毎朝の訪問客 それとも気まぐれな訪問客
いずれにしても ここは貴方の通り道
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通りがかりで大極殿公園(桜開花状況) [時井]

樹木の影に
水車小屋までの林道は 迷路のように
あなたは双眼鏡で 鳴声を追いかけ
白樺の木のほとりで ひとやすみするとき
あなたは梢に 麦わら帽子をかける

屋上までの案内表示は 迷路のように
あなたはようやく 最后の扉を発見する
狭い屋上で 少女が休暇の課題をこなし
私らは完成間近の風景画をのぞき

水車小屋の傍らに立っているのは
背伸びする あなたの後姿
きっと私らは瞳をとじていただろう

少女は頬を染めて 画板をうらがえす
私は水車小屋を双眼鏡で探す
そして 私らは手を振り別れを告げる
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