通りがかりで大極殿公園(桜開花状況) [時井]
通りがかりで大極殿公園(桜開花状況) [時井]
ある村の夜に
私らは窓辺に置洋燈をともし 交互にかさなりながら
ここへ着くまでのことことを
こぼれる明かりだけを残し 私らは語り合った あなたの
袖にさわるしぐさに 寒さを思い出した
蛾が幾度か 硝子にあたる音をたてるから
あなたは明かりを消す
夜の世界は 月の姿はなかった
月明かりはしかし 林のなかに川をてらしていた‥‥
二たび うすく灯すとき
あなたは無意識に 視覚探索の出題
(あなたの白い襟元に蛾が侵入していた)
私は襟元に手をやり あなたは瞳をとじる
私は蛾を把え貼り付ける
私は明かりを消す
おまけ
おまけ
私らは窓辺に置洋燈をともし 交互にかさなりながら
ここへ着くまでのことことを
こぼれる明かりだけを残し 私らは語り合った あなたの
袖にさわるしぐさに 寒さを思い出した
蛾が幾度か 硝子にあたる音をたてるから
あなたは明かりを消す
夜の世界は 月の姿はなかった
月明かりはしかし 林のなかに川をてらしていた‥‥
二たび うすく灯すとき
あなたは無意識に 視覚探索の出題
(あなたの白い襟元に蛾が侵入していた)
私は襟元に手をやり あなたは瞳をとじる
私は蛾を把え貼り付ける
私は明かりを消す
おまけ
おまけ
タグ:大極殿公園 桜
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私は住所を消し 名前だけを残し
きみに投函するとき 郵便受けで袋競りをした
私は中央郵便局で 郵便番号で仕分けし
郵便葉書が 指爪と肉の境を通り抜けた
雪は 物集女街道を拡幅し 集配ポストを雪だるまに
郵便受けは 読み人知らずを選歌し きみを思い出す
たとえば 構内では目を合わしてすれちがうだけ
誰かはそれだけで大丈夫?と 不安がった
今更届く なつかしいきみの返事を 無視するだろう
しれっとなつかしい息づかいを 十四行に忍ばせつつ
そして若菜屋で 思い出を摘むだろう
いつしか フロントガラスとワイパーが凍るとき
デフロスターをきかせ 解氷スプレーを吹かせつつ
跳ね返る雫で 袖口をぬらすだろう
きみに投函するとき 郵便受けで袋競りをした
私は中央郵便局で 郵便番号で仕分けし
郵便葉書が 指爪と肉の境を通り抜けた
雪は 物集女街道を拡幅し 集配ポストを雪だるまに
郵便受けは 読み人知らずを選歌し きみを思い出す
たとえば 構内では目を合わしてすれちがうだけ
誰かはそれだけで大丈夫?と 不安がった
今更届く なつかしいきみの返事を 無視するだろう
しれっとなつかしい息づかいを 十四行に忍ばせつつ
そして若菜屋で 思い出を摘むだろう
いつしか フロントガラスとワイパーが凍るとき
デフロスターをきかせ 解氷スプレーを吹かせつつ
跳ね返る雫で 袖口をぬらすだろう