通りがかりで主池

桜の木の下で　あなたの思い出に乾杯する
砂時計のように降りやまず　ただし不規則に
春の微風は　私に姿をさらす
そして　私は誰かれとなく　あなたの思い出を引き出す

桜の木の下で　あなたを眠って待つ
桜の枝から枝へ　青もみじの枝から枝へ
鳥は　花の蜜や木の実を確保する
そして　私の止まり木に　唐突に別れを告げる

ライトアップは　桝形道路の街路灯
枝は熟睡し　花は目を輝かせ立候補する
そう　別離の記憶をもって　

苦手な野菜を　大好きな野菜で包んだように
春の微風に包まれて　あなたは私に姿をさらす
そして　いつか見つかると思ってたよと笑う

通りがかりで4月１７日

鳥は虫をくわえ

通りがかりで４月１６日

春でも落葉掃除があり

通りがかりで４月１４日

春の声は　林に溶け込まない
老木の傍らで　ひとやすみするとき
あなたは梢に　麦わら帽子をかける
農小屋までの野菜の屑は　矢印のように

筍を受けとって　昔ばなしをする
狭いトロ舟で　ひとりは休暇の課題をこなし
私は未完成の風景画をのぞく
水場までの涸れ谷は　迷路のように

農小屋の影に立っているのは
背伸びする　あなたの後ろ姿
急坂を下れば　この先行き止まり

ひとりは画板をうらがえす
私はそれを双眼鏡で探し
鳥は未完成の藤籠で　かくれんぼ

通りがかりで七谷川林道

今日は雨

通りがかりで４月１２日

老婆は玉葱を収穫し

通りがかりで愛宕谷林道

今降る雨の澄んだ雫を
私にひとつ下さい
もし私から
消えてゆかないものならば

心は今とても澄んでいます
桜を散らす小雨より・・・

通りがかりで４月８日

通りがかるのは一羽の小鳥

通りがかりで４月７日

カレンダーを交換して

通りがかりで府道７３３号線

まだ肌寒い春です