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通りがかりで水路閣 [時井]

ひとりは 建築現場を訪ね 端切れをゆずりうけ
竹は風呂釜に焚べると破裂し 紙屑は黒い煤ばかり
煙突を 炎の行方や煙の向きを 少し気にしながら
だけれどもいつも沸かしすぎ 湯を捨てさらに水でうめ 

ひとりは 警備のいない 水路閣に迷い込み
橋上の林をぬう小川から 絶景かなとささやく声
誰かが 見下ろす風景を想像し 台座の膨らみに腰かけ
修学旅行生は アーチ橋の橋桁の小さなトンネルで かくれんぼ

私は 河原町通りを歩き 誰かの声を聞きたいのに
パッカー車が遮り 誰かは耳をおおう
追い払われた烏が 低い屋根で待機し

私は 聚楽第に忍び込み 誰かの寝顔を見つめたいのに
千鳥は啼いて 警護に囲まれるだろう
そして 香炉の灰を数えるだろう
IMG_0443.JPG
タグ:水路閣
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