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通りがかりで嵯峨野 [時井]

竹林の道で 葵上の牛車ともすれちがわず
野宮神社そばの踏切に 車止め
始発列車の通過したあと 2ドアを下り
私は 掃き掃除をする神職に挨拶をし

祇王寺の山門は閉じ 朝日が藁ぶきを照らす頃
私服の白拍子が 受付のガラス拭きをする
祇王らは 夜通し始発を待ち 都を捨てただろう
仏御前は 終発で観光客から隠れ 草庵を訪ねただろう

ありふれた日々は 思うようになり またならず
私の夢は 誰を訪ねるだろう
私は夢を捨てて どこへ旅立つだろう

百一歳まで生き抜いた彼女から 最后の手紙が押し入れの敷布に届く
割印した封筒を 今夜は開封せず 百か日までお預け
宛先は I 家のみなさまへ
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おまけ
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