一人は 小さな机にランプをともすことが出来た
そのそばで 手紙をあけるのは別の人だった
しずかな夜だから 笑い声がよく響き
こぼれるあかりは 影絵のように 目印となり
私らの約束は 私がある木の下で眠ること
風の歌に目を覚まし 郵便ポストをめざし
あなたとすれちがうだけで 満ちあふれ
そのおもかげに 笑顔を思い出すだろう
幾夜 風が暴れ風の歌をかき消すので
すれちがうより早く 林の中のあかりにたどりつく
つい私は返事を返せない
からっぽのはずの引き出しに 破れた便箋や ちいさな誤解を見つけたとき
でたらめに切手をはり 宛名をしたため速達と朱書するだろう
そして 意志の力でもう一度眠るだろう