長靴を並べ ランプを吊るし
小さな谷で お菓子の家へ着くまでのことことを
こぼれる明かりだけを残し 私らは語り合った あなたの
袖にさわるしぐさに 寒さを思い出した
蛾が幾度かランプを揺らし 音をたてて
明かりを小さくした
夜の世界は 月の姿はなかった
月明かりはしかし 谷底に水場をてらしていた------
鳥が寝ぐらで地鳴きした
薪が気まぐれに 煙の向きを変える
あなたは目にしみて 視線を送る
やがて鳥は 小さな谷をふたたび去るだろう
私は襟元を触れれば あなたは目をつぶれば
灰のような蛾のような